美味しい三ツ星スキル大公開
Q 保護者といっても、自分より生活経験が長い年長者がほとんど。
最初から、気おくれしない対策、教えてください。
A まず第一に、保護者とは「子育てパートナー」という意識を持ったほうがいいと思っています。お客さんじゃないんですよ、保護者は。スポンサーじゃないんです。
僕らに給料をくれるのは県の教育委員会です。だから保護者をお客さんと考えて、サービスを提供する、という立場に降りちゃダメなんです。気後れしてしまいます。
そもそも教育の第一義的責任は保護者が有するんです。教師じゃないんです。学校でもないんです。
教師はあくまで子育てのある一定期間だけの存在なんです。もちろん役割は大きいですけどね。だから、そのある一時期の子育てパートナーなんです。あくまで対等なんだ、ということです。
そして、良きパートナーであるためにしっかり学んでおかないと、と思うべきです。
教育の専門性を有しなければパートナーとして認めてもらえないですよね。
僕たちの仕事の目的は、その子の成長でしょ?
その子の成長に力を尽くすわけです。
だから年齢とか、子育て経験とか、そういう軸で考えない、ということですね。
僕はそう思うようになってからまったく気にしなくなりました。
「それ駄目だな、直したほうがいいよ」と思うときは、率直にその保護者に言ってきました。若いのに生意気だ、と思われたこともあったと思いますよ、もちろん。
愛情については、保護者のほうが圧倒的に強いんですよ、自分の子供ですし。
でも、僕たちは仕事として、その子が伸びるように専門性を有している職業人なんです。だから愛情については勝てないけれど、教育について学んでいる優位性はある。
“未来を見つめてどう育てているか”
“それを授業、学級経営にどう反映させていくか”
──などですね。そういう点で、やっぱりその子をよりよく伸ばすパートナーという意識で仕事をすると気持ちが楽になります。
そして二つ目は気後れしないためにもしっかり学んでおかないと、ということですね。
例えば「思春期って何?」とか「最新のICT活用は?」とか、「現在の入試制度は?」とか、保護者から尋ねられた時に、すぐに答えられないとだめです。
個人面談の時にご両親で来られて、アクティブラーニングに関する私見を問われ、これからの入試改革に関する説明を求められたこともあります。
私はすぐに答えました。
ちなみにその保護者の方とは今も仲良くさせていただいています。
そういう専門性について有しなければパートナーとして認めてもらえないですよね。
だからしっかり学ぶ。そのために雑誌を読む。本を読む。人に会う。授業の腕を磨く。学びを学級経営に生かし続ける。
そこですね、大事なのは。
すべては子どもの成長のために──。